『嫌われる勇気』という書籍をご存知でしょうか。
『嫌われる勇気』(著:岸見一郎、古賀史健)は、アルフレッド・アドラーの思想であるアドラー心理学をまとめた一冊です。
心理学や哲学と聞くと、一見「難しそう!」「私には縁が無いかな…」と思われるかもしれません。
しかし、アドラー心理学は普段の生活の中でも実際に当てはめて用いることができます。
人生に行き詰まったときや、婚活や対人関係で悩んでいるときなど、ちょっと立ち止まってじっくり考えたいときは誰にでもありますよね。
そういった時に、悩んだけれど結局答えが見つからないまま考えるのをやめてしまった……という経験はありませんか?
人生の中で出会った悩みに対してヒントをくれるのが、アドラー心理学です。
そして婚活中の読者の皆さんにも、アドラー心理学がきっと役に立つはず。アドラー心理学を活かせば、「私はどうして素敵な人と出会えないんだろう」「私は本当に結婚できるのだろうか」といった悩みを抱えている人に、光が見えるかもしれませんよ。
一度理解すると驚くほど面白い! アドラー心理学の「目的論」とは?
アドラー心理学の代表的な考え方に「目的論」というものがあります。
少しだけ難しいかもしれませんが、一度解釈できると驚くほどものの見方が変わってきますので、少しだけ一緒に勉強しましょう。
まず、 心理学で有名なフロイト、ユングは「原因論」を提唱し、アドラーはそれとは真逆の「目的論」を提唱しました。
●「原因論」とは…過去の経験から現在の自分を考える
●「目的論」とは…現在の自分から過去を意味付けする
この「原因論」と「目的論」を、婚活や対人関係に当てはめて考えてみましょう。
「原因論」では、過去に異性から嫌がらせをされたり、過去の恋愛で傷を追った経験があるから、現在の自分は恋愛に積極的になれないのだと考えます。
一番わかりやすいのが、”トラウマ”。「過去の恋愛に対する何らかのトラウマ(原因)があるから恋愛がうまくいかない」という考え方が「原因論」なのです。
一方、アドラーはトラウマによって今の状況があるという考え方を否定しています。
アドラーの「目的論」では、「恋愛をしたくない」という目的が先にあります。
その目的を達成するために、「怖くて恋愛がしたくないから、過去の恋愛で傷ついたことを思い出して負の感情を作り出している」という考え方をするのです。
人生は過去の原因によって左右されるものではなく、どう生きるかを常に自分で選んでいる。これが「目的論」の大きな特徴です。
これまでアドラー心理学をご存じなかった多くの人は、人生を「原因論」で考えていたのではないでしょうか? 私もその一人でした。
しかし、「原因論」の考え方だけで婚活をしていると、ある“罠”にはまってしまう可能性があるので要注意です。
「原因論」の考え方だけで婚活をしていくとどうなるのかを、考えてみましょう。
例えば、婚活を頑張っているのになかなか理想の人と出逢えない人がいるとします。その理由をいくつか挙げてみましょう。
・容姿やスタイルが良くない。
・自分自身の条件(収入・職種・年齢・家族構成など)に不都合なところがある。
・過去の恋愛に傷つき引きずっている。
・仕事が忙しくて婚活する時間がない。
・自分に合う結婚相談所や婚活アプリが見つからない。
など様々な理由が 考えられます。あなたにも当てはまることはないでしょうか?こういった様々な原因によって、自分は結婚できていないという「結果」がある。そう考えるのが「原因論」です。
「原因論」という言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、もっと簡単にいいかえるならいわゆる「タラレバ」ですね。
ーもっと容姿が良ければモテたのに。
ー大手企業に就職して年収が高ければもっと出会いがあったはずだ。
ー元カレが浮気したせいで、男性のことが信じられなくなった。あの時浮気さえされなけば……。
ー仕事も大事だし婚活に割く時間がない。もっと時間がとれたら婚活も頑張れるのに。
ー結婚相談所のカウンセラーと相性が合わなかったし、アプリでは遊びの人と出会っちゃったし、もっと自分に合う婚活さえできれば出会いがあるのに……。
本人は紛れもない事実だと思っているかもしれませんが、厳しい言い方をしてしまうと「タラレバな言い訳」でしかないのです。残念ながらタラレバな言い訳をしているうちは、なかなか婚活がうまくいかないかもしれません。
なぜならこれまでの婚活がうまくいっていない経験から、「婚活しても、どうせこの先もうまくいかないんだろう」と心のどこかで思ってしまいがちだからです。
では、どうしたらいいのか。
ここで活かせるのが、アドラー心理学の「目的論」なのです。
アドラー心理学の「目的論」を婚活に活かそう!
アドラーの「目的論」では、タラレバな言い訳はしません。
自分の現状をタラレバで考えるのではなく、「自分が今の状況を選んできた」と考えるのです。
婚活に当てはめると、結婚していない今の自分の状況があるのは、結婚しないことを自分自身で選んだからだ、という考え方です。結婚したくて婚活をしているのに、そんなのは矛盾していると思うかもしれません。
しかし「目的論」では、「結婚していないのは、結婚をしないことで満たしたい別の目的がある」という考え方をします。
大事な時間とお金を使って婚活を頑張っている方には、これもまた矛盾しているような気がしますよね。
「結婚をしないで満たしたい目的」とは、一体何があるのでしょうか? 例えば、
・仕事や趣味に打ち込める。
・自由な生活を送ることができる。
・お金も時間も自分のために使うことができる。
・嫁姑関係や家族関係に悩まない。
・子育てや新しい人間関係に悩まない。
あなたにも当てはまることはないでしょうか?
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